ライカM240のダイナミック レンジの広さを、実際の撮影データで検証してみる。黒の中に色やディティールがあり、白の中に色が隠れている、M240のダイナミックレンジの広さを実感。生のRAWデータもダウンロード可能。iPhoneや、最近の一眼レフカメラにはHDRモードという撮影モードが存在する。これは、露出を変化させて複数の写真を撮影してそれを合成することにより、1枚の写真を撮影するだけで黒つぶれと白く飛んでしまうことを防ぎながら撮影できる機能である。LEICA M type 240にはHDRモードは付いていないが、RAWデータを使うことにより、iPhoneなどのHDRモードなどよりも遥かに広いダイナミックレンジの画像を作ることができる。また、露出に失敗した黒つぶれした写真画像からも綺麗な画像を取り出すことができるのである。
2014年1月1日、元旦の朝6時28分。夜明け前のマジックアワー(画像クリックで、大きめのデータを表示=3000x2000ピクセル 865KB)。
カメラ: Leica M 240
レンズ: Ai AF Fisheye-Nikkor 16mm f/2.8D + ライカM ニコンマウントアダプタ
ホワイトバランス: Auto
露出補正:無し(空の箇所で自動露出)
撮影データ: 絞りF4、シャッター速度1/4秒、ISO200、手持ち撮影。
空のグラデーションや色を再現するために、空の明るい箇所に露出を合わせて撮影を行う。このままでは空以外の画像の大部分を占める箇所がの露出が暗すぎる、しかし、RAWデータを使ってレタッチを行うとこの通り。
レタッチ後の写真(画像クリックで、大きめのデータを表示=3000x2004ピクセル 1.87MB)。
空のグラデーションを保ったまま、黒に見える箇所にディティールが現れ、空の明るい場所から色が現れた。ライカM240で撮影した生JPGデータでは見えないディティールが、RAWデータの中に含まれているのだ。RAWデータ現像ソフトは、Photoshop CS6、現像データは次の通り。
Photoshop CS6 RAW現像で基本補正のみを行った。
上記基本補正の説明。
色温度3750→4200:色味調整
色かぶり補正-3→+10: 色味補正
露光量+2.30:画面中央の暗部を明るくする。ただし、このままでは明るい空が白く飛んでしまうため、ハイライトを最大限-100まで下げることにより、空の色を残したまま暗部の露出を上げる。
ハイライト-100:露光量を+2.30に対応させて空のグラデーションを残す。
シャドウ+13:暗部の明るさを調整
白レベル-44:空のディティール調整
黒レベル-8:全体(暗部)のディティール調整
明瞭度+33:細部をくっきりとさせる
自然な彩度+40:全体の色味調整
さらに、画像を開いた後に、カラープロファイルをAdobeRGBからsRGBに変換してJPG保存で完成。
L1000181.JPG (撮ったままの生JPGデータ、5952x3968ピクセル 7.63MB)
L1000181.DNG (撮ったままの生RAWデータ、5976x3992ピクセル 19.3MB)
L1000181d3.jpg (レタッチ後JPGデータ、5976x3992ピクセル 15MB)
筆者が保有する(していた)Nikon D3、D4も非常にレタッチ耐性の高いカメラである。Nikon D3、D4で14bit RAW撮影すると、真っ暗と思っている中にちゃんとグラデーションやディティール、色味が残っていた、ただし、露出オーバーした箇所はRGBが飽和してしまうことがあった。アンダー気味の写真を明るく持ち上げることはできるが、露出オーバー写真を元に戻すことは難しいので、Nikon D3常に露出補正-0.3で撮影を行っていた。
ライカM240も上記実例写真の通り、非常にレタッチ耐性の高いカメラである。M240の撮影設定は、購入時の初期値はJPGデータのみ保存となっているが、RAWデータとJPGデータを同時に保存しておくと、失敗写真をレタッチで成功写真へと変えることもでき、また、今回の実例のように意図的にレタッチによりダイナミックレンジの広い画像(明るい空と、暗い部分のディティールを同時に表現)を作ることもできるだろう。
生JPGデータよりも、RAWデータの方がピクセルサイズが少し大きいことが判明した。生JPGデータのピクセルサイズは5952x3968ピクセル、RAWデータのピクセルサイズは5976x3992ピクセル。縦、横ともに、RAWデータの方が24ピクセル多く記録されている。つまり、JPGデータでギリギリ撮れていないと思った箇所まで、RAWデータから現像してJPGにすることにより水平、垂直の両方ともに24ピクセル分まで隠れているデータを復活できるということである。
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