ライカ M 240の魅力と欠点。欠点こそが魅力の本質である。

ライカ M type 240の魅力と欠点

ライカ Mの魅力と欠点を解説します。欠点こそがライカの魅力の本質であり、短所があるのが個性とも言える。完璧なカメラは面白いだろうか?弱点があり、欠点があるからこそ愛される、魅力あるカメラ、それがライカなのだ。


Leica M type 240+ノクティルックス M f0.95/50mm ASPH。

ライカ M 連写に弱い、小さなシャッター音が魅力

ライカ M type 240の連写速度は秒間3コマである。今の時代、一眼レフの入門機でも秒速5コマ連写できる。ニコン D4やキヤノン 1D Xなどのプロ用一眼レフなら秒速10コマ以上の超高速連写ができる。もう一度いう。ライカ Mタイプ240の連写撮影は3コマ/秒。もし、君が高速に動く被写体の瞬間の決定的瞬間を撮影したいなら、ライカは購入しない方が良いだろう。プロ用の国産一眼レフをおすすめする。

ライカが、連写速度を犠牲にして得たもの、高速一眼レフユーザーが決して手に入れられないもの。それは、一枚の写真撮影の重みと、魅力的なシャッターレリーズ音である。

プロ用一眼レフを高速連写すると、「ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、・・・」や「ガガガガガッ」「カタカタカタカカタ・・・」とマシンガンのような大きな音が響く。大きな連射音がプロ用カメラのようにカッコイイと思う人もいるだろう。はい、その方は一眼レフの世界へ行くが良い。

ライカを握り、ファインダーに目をあて、シャッターを切る瞬間に目の前で響くシャッター音、それは「カシュッ」または「カタン・・」という、一眼レフと比べると信じられないくらい小さな音である。その音は心地よささえ感じさせてくれるのだ。

一眼レフとライカのシャッター音の違いは、シャッター機構の違いによるものである。一眼レフは、レンズとフィルム(またはCMOSなどの撮像パネル)との間にミラーが入っており、撮影前にファインダーを見る際はレンズからの光がミラーで反射して、プリズムを通ってファインダーに届く。そして、シャッターを切った瞬間にミラーがアップし、レンズからの光がフィルム面に届く。この時、ミラーが上がる瞬間のカタンという音と、ミラーが戻る際のカタンという音がシャッター音と重なって、ガチャン、という大きな音が響くのである。

ライカには、一眼レフのようなミラーが付いていないためシャッターが切れる小さな音だけが響くのである。ちなみに、ミラーレス一眼は使ったことが無いのでシャッター音の比較はできず申し訳無い。

次に、ライカは連射速度が遅い、つまり連射をあまり使わないことにより、一枚一枚を大切に撮影していく感覚が魅力と言える。昔、といっても20年くらい昔のことだろうか。当時、筆者は、CANON AE-1+プログラムという一眼レフを使っていた。連射のためのモータードライブ(ワインダー)が標準で付いていないので、またフィルムも1本で36枚しか撮影できなかったので写真撮影一枚一枚を大切に撮影していた。おじさんカメラマン世代には懐かしく、若者世代には1枚ずつ撮影するという新しい感覚を感じることができるのがライカの魅力の一つである。

ライカ M オートフォーカス機能が付いていない、一枚の写真の大切さを感じられる魅力

ライカのカメラボディやレンズにはオートフォーカス機能も手ぶれ補正機能も付いていない。ではどうやってピントを合わせるのだろうか?それは、距離計という機構を利用する。ライカのファインダーを覗くとリアルの世界がそのまま見える。そして、ライカを正面から見て左手に測距窓と呼ばれる小さな四角い窓がありそれがライカのもう一つの目である。つまり、人間が左右の二つの目で目の前の物体までの距離を感じるのと同様に、ライカも二つの目が存在し、レンズのピントリングと機械的に連動し、ファインダー中央の小さなボックスの中に、二つの目で見た像を重ねて表示しその二つの像がぴったり合うようにピントリングを合わせることによりピントを合わせることができるのだ。

現代の一眼レフ、コンパクトデジタルカメラ、そしてiPhoneやAndroidスマートフォンのカメラでさえ、当たり前のようにオートフォーカス機構が付いているが、一昔前(20年程前)までにはこのオートフォーカス機能というのは存在せず、当時の一眼レフはファインダーの中央に、カメラレンズと連動するプリズムのようなものがあり、その中央の像をくっきりとさせること、または、レンズの中を通った映像そのものを見ているので、ファインダーの中の像のピントを合わせたい箇所のピントを合わせることによりピント合わせを行った。さらに1970年代よりもっと昔のカメラでは、距離計方式によるピント合わせ機構が無かった頃は目測でピント合わせを行っていた。

目測とは、レンズのフォーカスリング上にかかれた距離のメモリを、目測での距離をある程度合わせて、あとは、被写界深度に任せて撮影するのだ。28mmなどの広角レンズでは、被写界深度が深いため、ある程度の位置にピントリングを合わせて置けばほぼパンフォーカスで写真撮影ができるのだ。28mmのレンズでは、F値をf8、ピント位置3mに合わせておくと、目の前1.5~無限遠までの被写界深度となりパンフォーカス(1.5m~無限遠までにピントが合う)で撮影できる。富士フイルムの使い捨てカメラ「写るんです」にはピントリングはありませんよね。これが、パンフォーカスの威力です。ライカに28mm、35mmなどの広角レンズを付けてパンフォーカスで撮影することにより速射性に優れていた、さらに、距離計機構により正確なピント合わせもできたこと、これが1960年代のライカの魅力であった。

では、現代の時代にオートフォーカス機能が無いカメラは欠点なのでは?オートフォーカスできないと、ピント合わせがしづらい、距離計を使ってピント合わせするのにも時間がかかるし速射性にも優れない、そんな欠点こそがライカの魅力の一つといえる。1枚一枚の写真を丁寧に撮影する、撮影の楽しみを感じさせてくれるのだ。

ライカは、レンジファインダー方式のカメラである。一眼レフが、レンズを通った映像をそのまま見るのに対して、レンジファインダー式のカメラは、レンズとは別にファインダーが存在する。ライカMタイプ240は、ファインダーを通じてカメラの向こうの世界が見え、その中にブライトフレームというレンズの焦点距離に合わせたフレームの目安が表示される。そのブライトフレームの中に含まれる部分が切り取られて画像データとして記録されるのである。焦点距離の異なるレンズにレンズ交換を行うと、自動的にブライトフレームの範囲が変わる仕組みになっている。レンズを通して見た世界をそのまま記録するのが一眼レフ、ファインダーから覗いた世界を切り取って記録するのがレンジファインダーカメラである。この世界を切り取る感覚が一眼レフとは異なるライカの趣です。

さて、距離計を使ってフォーカスを合わせることはできても、不便なことがある。それは、距離計が機械的にレンズと連動するため、使えるレンズの焦点距離の種類が限られるということ。ライカMタイプ240のブライトフレームに対応するレンズは、焦点距離が28mm(エルマリート28mm はシリアルナンバーが2 411 011 以降のもの)、35mm、50mm、75mm、90mm、135mm のレンズである。これらのレンズを装着すると、28mm と90mm、35mm と135mm、50mm と75mm のブライトフレームの組み合わせの中から焦点距離に対応した1 組が自動的にファインダーに表示される。距離計と連動するレンズは、焦点距離が16 ~ 135mm の全レンズである。ブライトフレームはフォーカシング機構と連動しており、パララックス(レンズとファインダーの光軸のズレ)は自動的に補正される。

ブライトフレームが広角側で28m、望遠側で135mmまでしか対応しないため、超広角レンズや望遠レンズを使おうとすると、フレーミングやピント合わせに困ります。そんな困ったを解決するために、なんと、ライカMタイプ240は、電子ビューファインダーEVF2や背面の液晶画面を使ったライブビューに対応している。ライブビューを使って正確にピント合わせもできる。なんと素晴らしきライカM240の世界。

ライカ M は重い、その金属のかたまり感が魅力

ライカ M Typ240の重量は680gである。現代のコンデジやミラーレス一眼と比べるとはるかに重い、しかし、フルサイズセンサー付きの高級一眼レフと比べると軽いとも言える。でも体積は非常に小さく、手に持つとずっしりと重い金属のかたまり感がある。では、ライカはなぜ重いのか?それは、金属の塊から作られているから。例えば、ライカMタイプ240は、カメラの上下に付いている底蓋と、上の蓋は真ちゅうの金属のかたまりを削りだしで作られており、ボディ本体は、さすがに重量の問題からか、マグネシウム合金でできているが、それでも金属パネルや金属部品の集合で作られているのでなく、ボディ本体は、一つの金属の部品でできているのだ。真鍮削りだしボディは使い込む程に味がでてくる。使い込むと黒いペイントが部分的にはげて、中から真鍮のボディーが見えてくる。

現代のコンパクトカメラ、ミラーレス一眼、普及型一眼レフのボディーはどうだろう。軽くて持ち運びに便利にはなったけど、中身は工業用プラスチック(ABS樹脂)だったりする。使い古しても塗装がはげても、中から真鍮は見えない。逆に、黒いペイントがはがれると中から白や灰色のプラスチックが顔を覗かせることがある。NIKONの高級一眼D800でさえ、ボディの一部はプラスチック製だ。ニコン銀座に置いてあるD800は、大勢の人の手に触れるからか、一部の塗装がはげて白いプラスチックが見えていた。さすがにニコンD3やキヤノン1Dなどのプロ用高級一眼レフはボディ全体がマグネシウム合金製でずっしりとした重量感もあり、また堅牢性もあるが、本体が1200g~1500g(つまり、ライカMタイプ240は、その半分)の重さだ。金属のかたまりのようにずっしりとした重さを感じられるものの、同じ性能のプロ用一眼レフと比べると、実は体積が小さくて重さも軽く持ち運びにも便利な可愛いやつ、それがライカだ。

フルサイズ一眼レフ以上の優れた写真が撮れるにもかかわらず、重さはプロ用高級一眼の約半分、体積も半分、でもコンパクト一眼レフやミラーレス一眼レフと比べるとずっしりとした金属のかたまりのような適度な重量感もあり、堅牢にできている。そして使い込む程に味が出てきて自分だけのライカができあがる。自分とともに成長するカメラ、出来の悪い子供でも世界で一番可愛いと思う親ばかのような愛を感じることができるカメラだ。

ライカ Mのレンズは価格が高い、周辺減光もある、レンズの「味」が魅力

国産デジタルカメラのレンズと比べると、ライカMレンズは価格が10倍以上も高い。その上、周辺減光が目立ったりする。しかし、周辺減光でさえ、ライカレンズの「味」であり、ライカ独特の表現ができるレンズ、それがライカレンズの魅力である。目の前で見た、感動した場面そそのまま写すのでなく、「空気感」まで撮影したい、それができるのが、ライカ+ライカレンズである。

関連記事: 周辺減光 (ライカレンズ作例付き)

あなたも徐々にライカの事が好きになってきたことだろうう?まだまだライカには魅力がある。ライカの欠点と魅力について続きを後日お届けする。お楽しみに。

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