周辺減光(しゅうへんげんこう、ビネッティング 英語: Vignetting)とは、撮影された写真の中央部と比べて縁辺部の明るさが暗くなる現象をいう。特に明るいレンズの開放絞り付近で発生しやすく、絞りを絞ることにより周辺減光を少なくすることができる。
2000年代前半までのフィルムによる撮影が主流であった頃は、周辺減光は当たり前の現象であった。2000年代後半以降のデジタルカメラが主流になった頃に、デジタルの力で周辺減光の影響を少なくする技術が開発された。具体的には、各レンズ毎に、周辺減光の度合いを予め計測し、撮影された写真画像を周辺部の明るさをデジタル的に明るく補正することにより周辺減光の影響を少なくするものである。
最近のデジタルカメラでは撮影時の設定画面でレンズによる周辺光量低下を防ぐビネッティング設定が可能になっている。また写真編集ソフトでも周辺減光(ビネッティング)補正が可能なものもある。
周辺減光をデジタル的に補正することにより、画面全体で均一の明るさとなる完璧な写真を撮れるようになった。逆に完璧な画像になることにより、写真の「味」が失われたという意見も存在する。周辺減光があることにより、写真中央部が周辺部と比べて明るくなりそれが、あたかもスポットライトが当たったかのように中央部分の被写体が浮き出るように見える、それが周辺減光による「味」である。
2010年代に入ると、その均一に写った写真画像を、デジタル的に加工して「周辺減光を人工的に」作り、周辺減光による「味」を作り出し、それを好む人も増えて来た。代表的なソフトウェアとしては、iPhoneアプリ、AndroidアプリのInstagram(インスタグラム)があげられる。Instagramは、周辺減光を発生させたり、また色調を古い写真風に補正して1970年代風の写真や、白黒写真を作ることにより、最新デジカメで撮影された「完璧な写真」を「味」のあるカッコイイ写真に加工できるのである。
ライカのレンズで撮影した写真は、ニコンや、キヤノンの最新デジカメ、最新レンズで撮影した写真と比べて周辺減光がはっきりと分かる。ライカで撮影した写真には「立体感」がある、「空気感」まで写るという意見がある。この立体感、空気感を作る理由の一つが周辺減光である。
ライカカメラ AG 現行レンズリスト(公式サイト)の各レンズ詳細からテクニカルデータ(pdf)を開くと、Vignettingのグラフがあるがこれが、撮影された写真中央から、の距離に対する周辺減光のグラフである。中央が100%、20mm程度の距離でで20%となっている場合は、周辺部が中央と比べて1/5の光量になる、という意味である。
ライカのレンズは、様々なレンズ毎に、または、同じ型番のレンズでも個体毎に周辺減光、色の滲みやクセがあり、ニコンやキヤノンではレンズの欠点であると見られてもライカにとっては、その欠点こそが魅力であると思える、そんなレンズの「味」があるのである。
関連リンク: ライカカメラ AG 現行レンズリスト(公式サイト)
ライカ ノクティルックス M f0.95/50mm で撮影した写真作例を元に周辺減光を検証する。各写真画像をクリックすると、大きめの画像(3000×約2000ピクセル)を表示する。
LEICA M240+50mm f0.95を購入後、記念すべき1ショット目 (ライカで撮影したので被写体はニコンw)
撮影データ: Leica M 240、ノクティルックス M f0.95/50mm、f0.95 1/90秒 ISO200
絞り開放で撮影した所、写真の周辺光量が落ちて、周辺減光がはっきりと見える。ピントが合った箇所=ニコンレンズの一部は非常にシャープであるが、その前後はすぐにぼけている、ピント面が非常に薄い。被写体がくっきりと浮き上がるこの「立体感」「空気感」が素晴らしい。
LEICA M240+50mm f0.95絞り開放で風景撮影(ノートリミング、RAW現像)
撮影データ: Leica M 240、ノクティルックス M f0.95/50mm、f0.95 1/1500秒 ISO200
絞り開放で撮影、RAW現像時にコントラストを少し高めて周辺減光を強調した。
LEICA M240+50mm f0.95絞りf8で風景撮影(ノートリミング、上記写真と同じパラメータでRAW現像)
撮影データ: Leica M 240、ノクティルックス M f0.95/50mm、f8 1/90秒 ISO200
絞りを(f8まで)絞ることにより周辺減光が少なくなった。さらに、細部までシャープになった。
上記2枚の風景写真を比べると、どちらの写真に「味」があるだろうか?写真をクリックして拡大写真を見比べて欲しい。ニコンやキヤノンの最新デジカメで撮影すると、後者のように周辺減光も少なく、細部までシャープで「完璧」な写真ができあがる。しかし、ライカM+ライカレンズなら、前者のように周辺減光があり、ピントが合った箇所はシャープでありながら、全体的にソフトな「味」のある写真が撮れるのである。
周辺減光が見られる前者は、空の左右上部(写真の四隅)が減光しているのが分かるが、(減光の影響が少ない)後者と見比べると、中央左側の川(隅田川)の左下部分が減光することにより中央の船の白が強調されて浮き出ているように見える。その船の進む方向へ視線を伸ばすと夕日に照らされて赤く染まる高層マンション群、そして、さらにその先の東京スカイツリーへと視線が移動する。
明らかに前者の方が「立体感」「空気感」を感じる。「空気感」を写す、「空気」まで写すのがライカMであり、ライカレンズなのである。
周辺光量落ちの写真が、味のある、空気感を写した、透明感のある良い写真だったとしても、周辺光量をなんとか補正したいこともあるだろう。そんな時、Photoshopを使えば、簡単に周辺減光補正を行うことができる。jpg画像ファイルなら、Photoshop CS6ならメニューからフィルター→レンズ補正を使う。RAW画像ファイルなら、現像時のメニューで周辺減光補正を行うことができる。
本ページ内の作例画像の周辺減光補正を行ってみた。
jpg画像ファイルに対して周辺光量補正を行い周辺減光を軽減させた。。
LEICA M240+50mm f0.95絞り開放で風景撮影(ノートリミング、RAW現像)
撮影データ: Leica M 240、ノクティルックス M f0.95/50mm、f0.95 1/1500秒 ISO200
絞り開放で撮影、RAW現像時に周辺光量補正を行い周辺減光を軽減させた。。
ライカM240レンズの開放絞り付近で撮影すると、ニコンやキヤノンなどの高級一眼レフで撮影したのと比べて周辺減光が目立つように感じる。しかし、Photoshopなどの写真編集ツール、RAW現像ソフトで周辺光量補正を行うことにより、周辺減光補正を行うことができる。jpg画像ファイルよりも、情報量の多いRAWファイルに対して周辺減光補正を行う方が、より綺麗な画像ができあがる。
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