M10-D with SUMMICRON 50mm f2 first
ライカと言えば一部のマニアに人気のドイツ製高級レンジファインダーカメラだ。そのライカから、デジカメなのに背面液晶画面が無いという変態カメラM10-Dが2018年11月に発売された。筆者は発売日前に注文し、約50日後にM10-Dを入手できた。ライカから新型レンジファインダーカメラが発売される際はいつも1ヶ月以上の納期がかかる。購入後約1ヶ月間使ってわかったM10-Dの魅力をレビューする。ちなみに、筆者が初めてライカを購入したのが5年前、ライカ M240からライカユーザーになった。その4年後にはライカのフィルムカメラ M3(約50年前に発売されたカメラ)を中古で購入、そして今回2018年12月にM10-Dを購入した。
ライカM10-Dを操作性について、M10-Dを実際に1ヶ月間使って分かった魅力は次の通り。
ライカM10-Dの操作は実にシンプルだ。
M10-Dを手に取り背面の円形ダイヤルスイッチを左周りに少し回転させるとスイッチONになる。シャッターレバーの形をしたサムレストを引き上げて右手でカメラを握った瞬間、さあこれからライカで写真を撮るぞという心のスイッチもONになる。
場面に合わせて絞りリングを回す。レンジファインダーを覗いて左手でフォーカスリングを回しマニュアルフォーカスを行い、右手人差し指でシャッターボタンを押すだけで撮影できる。
ライカM10-Dは、ISO自動設定、シャッター速度自動設定が使いやすい。どんな場面でも露出のミス無く簡単に撮影できる。
ライカ M240ではシャッターボタン近くの電源スイッチをカチッと動かして電源スイッチをON/OFFしたがM10-Dでは背面円形ダイヤル位置の電源スイッチで操作する。M10-Dの円形ダイヤルを1クリック回すと電源ON、2クリック分動かすとWi-FiがONになりスマホ専用アプリFOTOSを使ってスマホから操作を行いM10-Dの撮影済みデータを見たり、スマホから操作して写真撮影を行うこともできる。
M10-Dには他のどのメーカーのデジカメにも存在している背面液晶画面が無い。そのため、撮影した写真をカメラで確認することもできずライブビュー撮影を行うこともできない。また複雑なカメラ設定を画面を使って操作することもできない。カメラには必要最低限の操作ダイヤルやスイッチが付いているだけで見た目もシンプルだ。操作がシンプルだから撮影することだけに集中できる。
自分が意図した写真を撮影するために最低限必要なことは、どこにピントを合わせるかというフォーカス、そして被写界深度をコントロールするための絞り設定、構図、撮影タイミングだ。M10-Dは、フォーカスリングと絞りはレンズのリングを手で回して行う、そして、レンジファインダーを覗いて構図を決め、ここぞというタイミイングでシャッターボタンを押す。背面液晶もなく複雑な操作も行わないので、フォーカス、絞り、構図、タイミングの4点だけに集中できる。RAW画像で写真を記録すれば、露出変更や色味・コントラスト調整はRAW現像時にかなりいじることができる。
国産の一眼レフを使うと、何も考えずにシャッターボタンを押すだけできれいな写真が撮れる。瞳フォーカス機能やシャッター速度と露出自動的に合わせてくれるプログラム露出機能などを使いカメラが必要な箇所にフォーカスを合わせ、絞りもシャッター速度もカメラが自動的に決めてくれる。人間が考えることは構図とシャッタータイミングだけだ。連写機能を使えば、カシャカシャカシャと連写しておけば撮影した複数枚の中から最適なシャッタータイミングを後から選ぶこともできる。
カメラというものはほんの30年くらい前まではフォーカスも、絞り値もマニュアル操作で行うものだった。30年くらい前までは1枚撮影する度にシャッターレバーを巻き上げて撮影を行い1枚1枚を大切に撮影してきたものだった。それがいつからか、フォーカスも絞り値も自動的にカメラが決めてくれる、連写もできる便利な世の中になったが何か大切なものを忘れてはいないだろうか。
M10-Dは、フォーカスも、絞りもマニュアル操作で行う必要がある。連写にも強くない(M10-Dは5枚/秒の連写もできるので3枚/秒のM240と比べると多少は連写に強くなった)。しかし、連射に弱いからこそ1枚1枚の写真を大切に撮影するという「写真を撮ること」の楽しみを思い出させてくれる。
M10-Dのバッテリー交換、メモリカード(SDカード)の着脱はカメラ底部のプレートを開けて行う。この操作はM240と同じであり、またM3のフィルム交換の操作にも似ている。
ライカ使いにとっては底蓋の開閉は一日の撮影終了の合図であり、儀式であり、ルーティンでもある。底蓋を開閉を行う度に自分はライカを使っているのだという心の充実感、心の平和が訪れる。
他社製メーカーのカメラと比べると、例えば、ニコンD4、D5は底部分横にあるバッテリー室カバーの開閉スイッチを回して引き出すことにより素早くバッテリー交換を行える。職業カメラマンなら電池交換も素早く行える他社製一眼レフは便利にできている。 M10-Dの場合、革製のカメラケースを使っている場合ケースを外して底蓋を開けるという一手間がかかるが、慣れれば面倒では無いし電池交換も趣味の写真撮影の中では楽しい儀式の一つである。
他社メーカーのカメラは、カメラから撮影データを取り出す際にUSBケーブルを使って行う機種がほとんどではあるが、M10-Dではカメラ本体にUSB接点がついておらずSDカードからパソコンへのデータ転送は底蓋を開けてSDカードを取り外して行う必要がある。撮影データをパソコンにコピーするのは面倒といえば面倒であるが、それでもフィルムカメラ時代のフィルム交換、フィルム現像と比べると格段に便利な操作になった。
ライカ社に一つ注文を付けるとすると、撮影した写真データをパソコンの中に取り込むための便利なソフトウェアを作って欲しいということである。筆者はニコンD4も使っているが、ニコンはViewNXというソフトウェアを使うと前回パソコンに取り込んだデータ以降のデータのみをパソコンの中に、指定フォルダの中に日付名でフォルダを自動作成してデータ転送してくれるまたパソコンの中の画像一覧を便利に閲覧する機能も付いている。ライカM10-Dはパソコン取り込みソフトウェアが付いていないので、自分でフォルダを作りSDカードからパソコンにコピーするという手間がかかるのが面倒である。SDカードからパソコンに撮影データを取り込む便利なソフトウェアを知っている方はぜひ教えていただきたい。
バッテリー充電、SDカード操作を行う際に底蓋を開けてバッテリー、SDカードを取り出す必要があるので注意しなければならないのがバッテリーを充電したまま、または、SDカードをパソコンに差し込んだまま、つまりカメラの中にバッテリーまたはSDカードが入っていない状態で撮影にでかけた先でバッテリーが無い、またはSDカードが入っていないことに気づいて撮影できなくなる可能性があるということ。筆者はまだその事態に遭遇したことは無いが、筆者のライカ仲間でバッテリーを忘れて撮影できなかったという人がいる。筆者はバッテリー忘れを防ぐために、充電済みの予備電池を一つカメラバッグに入れたままにしている。またSDカードを取り外している際は底蓋を閉じずに開けたままボディと底蓋を防湿庫に入れている。バッテリーとSDカードが入っている時のみ底蓋を取り付ければ撮影先でバッテリー無し、SDカード無しが発生することは無い。
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M10-DのバッテリーサイズはM240と比べると少し小さくなった。M10-DはM240と比べるとボディが薄くなった分バッテリーも小さくせざるを得なかったのだろう。購入から1ヶ月間、ほぼVISOFLEX(電子ビューファインダー)は使わず、また撮影中にWi-Fi接続を行うこともほぼ無かったので1日で150枚くらい撮影(JPG+RAWデータ保存)してもバッテリーが無くなりそうになることは無かった。液晶画面が無いのでM240と比べると電池消費量も減っているのだろう。
1度VISOFLEXを使いながら途中何度かWi-Fi接続でFOTOSアプリを使用したところ、170枚ほど撮影した段階でバッテリー残量は100%⇒30%まで減ってしまった。
(VISOFLEXを使わず)レンジファインダーでのみ撮影を行う方、連写は行わず一枚一枚撮影するという方、FOTOSアプリをほぼ使わずに撮影のみを行うという方なら通常の撮影であれば一つのバッテリーで1日中撮影を行うことができるだろう。さらに撮影に集中したいという方は、1日の撮影で150枚以上撮影するという人は予備バッテリーをカメラバックのに入れておくことによりバッテリー残量を気にすることなく撮影に集中できることだろう。
ライカM10-Dは、ISO設定はカメラ上部左側のダイヤルでアナログ方式で行う。また露出補正操作は背面の円形ダイヤルで行う。どちらも電源スイッチがオフの時も現在状態を確認できるのが便利だ。M240はISO変更は背面のスイッチで操作を行い背面液晶で確認する、また、M240はカメラ全面のボタンを押しながら背面のダイヤルを親指で動かすことにより露出補正を行う。M240、およびM10-Dともに、露出補正情報はファインダー無いの赤色LEDで確認できるが、M10-Dは背面のダイヤルのみで露出補正値を確認できるのが便利である。電源を切っている状態でもカメラを手に持てば露出補正の設定確認、設定変更を行うことができる。
筆者は、ISOはオート設定、露出補正は-1/3に設定した状態で撮影することが多く、ほぼ設定変更は行わない。M10-DはM240と比べると高感度耐性が高くなったため、ISOオートにしていても高感度ISOになりすぎて写真のノイズ感が増えることも少なくM240と比べると使い勝手が良くなった印象だ。
ISO設定については、M10-DではISO 100が使えることになったことが嬉しい。M240では、最低ISO値がISO200であったが、M10-DはISO 100まで低感度撮影できる。Summilux f/1.4、NOCTILUX F/0.95などの明るいレンズを使う筆者としては昼間でも絞り開放付近で撮影できることが嬉しい。M10-Dを購入して良かったと感じる点の一つである。
この1ヶ月間M10-Dを使って撮影を行って来たが実写性能はすべての面で十分以上に満足している。
JPG画像を見ると黒つぶれしているような箇所も、Adobe Lightroomを使って現像する際に露出調整を行うとしっかりと階調が浮かび上がる。
ライカ M10-Dは背面液晶が無いがFOTOSアプリを使って、スマホをカメラにWi-Fi接続させてカメラ内の撮影データを外出先にアプリで確認できる。通常の撮影では撮影中に撮影写真を確認することは少ないがどうしても確認したくなった時にスマホでデータ確認できることはあまりの便利さに感動するほどである。
M10-Dを1ヶ月間使った感想としては、M10-Dとスマホを接続するに時間がかかる(30秒くらい)ことと、使っている最中にWi-Fi切断されて再接続する必要があることが時々発生するという点が不満点である。
FOTOSアプリを利用するには、M10-Dの背面円形ダイヤルスイッチを電源ON位置よりももう一段階回してWi-Fiオン位置にすることにより行う。カメラ側でWi-FiスイッチをONにするとカメラ背面左下のLEDが緑色にチカチカと点滅し続け10秒弱で点滅が終わり消灯した後にスマホのFOTOSアプリでカメラ接続ボタンをタップして行う。カメラのLED液晶が点滅している際はFOTOSアプリで接続スイッチをタップさせても接続に失敗するので、おそらくこの緑色LEDの点滅が終わったら接続できる、ということなのだろう。この点滅時間が短くなると(つまり接続までの時間が短くなると)ありがたい。ライカの開発さんには、ぜひ改良していただくかまたは次世代のライカでは接続までの時間を短縮化して欲しい。
FOTOSアプリを使ってスマホからカメラ内の撮影写真を確認することができる。その後、スマホにJPEGデータ、およびRAWデータをダウンロードすることもできる。例えば、スナップ撮影を行った写真をその場で被写体モデルさんに見てもらったりまたはデータを送る際にこのダウンロード機能が役立つ。JPEGデータのダウンロード機能は筆者も時々使っている。なお、RAWデータもスマホにダウンロードすると、AdobeのLightroomというアプリでRAW現像を行うことができる。
M10-Dの問題か?またはFOTOSアプリの問題か、またはiPhoneの問題かは不明であるが筆者が外出先などでFOTOSアプリを使ってM10-Dに接続しようとすると、使用中に接続が切れたりまたは全く接続できなくなる現象が発生している。
接続できなくなった場合は、M10-D本体の電源を切って入れ直しても、またFOTOSアプリを終了、または削除後に再インストールしてもなんどトライしてもつながらなくなる。この時点でライカ銀座店へM10-Dを持って行ったのであるが、ライカストアのスタッフに見ていただく直前に、iPhoneを再起動してみたらなんとM10-Dに接続できた。FOTOSアプリで接続できなくなった場合はスマホを再起動してみることをおすすめする。
その後接続できたが、翌日またFOTOSアプリで接続できなくなった。または接続できてもスマホ上でM10-D内の画像を見ることができなくなった。原因は不明であるが、SDカード(128GBの大容量)内に撮影データが約860枚に加えて別のパソコンデータのバックアップデータを15GBくらい(10000ファイル以上)保存していたことが原因かと思い、2019年2月3日にSDカードをフォーマットしなおしてみた。フォーマット直後もFOTOSアプリでM10-Dに接続するには変わらず約32秒ほど時間がかかってしまうが無事接続できた。SDカード内のファイル容量+ファイル数が増えすぎたことが今回接続に失敗しやすくなった原因かも知れない。
(2019/3/14追記)撮影中にFOTOSアプリに接続しようとしてつながらなくなった後、カメラがフリーズ(シャッターボタンを押しても無反応)になってしまった。M10-Dの電源を入れ直してもカメラは無反応のまま、ハングアップしてしまったか?と思ったがM10-Dの「電池」を外して付け直すことにより正常動作するようになった。FOTOSアプリへの接続時にカメラがハングアップしてしまったのだろうか?
(2019/3/23追記)2019/3/20にライカ銀座店を訪問した際、店員に聞いてみた。FOTOSアプリに接続する際に固まってしまうことがあると伝えたところ、ライカ銀座店の店員さんの話では「FOTOSアプリはまだ不具合がありたまにそのような症状が発生する。」「SDカードは容量が大きいものを使うと不具合が発生する例が多い。32GBや64GBのSDカードの使用をおすすめする」とのことだった。筆者は128GBのSDカードを使っているがもう少し容量の少ないカードを使うと多少は症状が改善するかも知れません。FOTOSアプリのバグであれば早くバグフィックスして欲しいと思う。
(2019/9/1追記)ライカ銀座店員からの推奨を受けて容量の少ない(32GB)のSDHCカードを購入して使っているがライカFOTOSアプリとの接続性が良くなったように感じる。ライカ M10-D におすすめのSDカード、SDHC SDXCカードは?でおすすめSDカードのレビューを行った。
FOTOSアプリを使えば外出先でも写真を確認できる。M10-D + Summilux-M 50mm f/1.4 firstで筆者撮影。
(2019/9/1追記)背面液晶画面が付いていないライカM10-Dは撮影中に液晶画面を見ることなく写真を撮影することだけを楽しみ集中することができる。通常撮影時にはFOTOSアプリを使うことはほぼ無い。しかし、例えば記念日食事を行った際に撮影した写真をその場で参加者と共有したりSNSにアップロードする際にFOTOSアプリが役立つ。
M10-Dの背面電源スイッチをWi-Fiモードにして30秒あまり経過するとスマホと接続してFOTOSアプリで撮影した写真を確認することができる。
M240は撮影した写真はパソコンに取り込まないとSNSにアップロードすることもできなかったが、M10-DならFOTOSアプリを使って外出先で写真をSNSにアップロードすることだってできる。スマホ上のAdobe Lightroomという現像ソフトを使い色味や露出調整を行ったりカラー写真を白黒写真に現像することもできる。5年前に購入したライカM240と比べると革命的な進化である。
見た目はオールドフィルムカメラのM10-Dなのにボディの中には最新の機能が詰まっている。ますますM10-Dが好きになった。
ライカのレンジファインダーを使ったマニュアルフォーカスについて、慣れればスナップ撮影時には素早くフォーカスできるので便利だ。筆者は50mmレンズを使うことが多く、レンジファインダーを使った二重像合致方式フォーカスにも慣れているのでスナップ撮影、室内などでの撮影を行う際はオートフォーカス機能が無くてもそれほど困ったことは無い。ニコンD4、D5または、キヤノンのEOSシリーズなどのAFカメラを使うとどんな場面でも、またどんなレンズでも素早く生活にフォーカスできるので撮影ミスが許されない場面ではライカ以外のAFカメラを使うこともあるが、ライカでレンジファインダーを使ってマニュアルフォーカス撮影することは、そのフォーカスを行うことまで含めてカメラを操作する楽しみの一つなのだ。
M10-Dを約1ヶ月間使って感じたことは、M240と比べると、2重象の二つの象のコントラストが薄くなったように感じる。両者を同じ場面で使い比べたことはまだ無いが、明るい場面などで時々フォーカスがしづらいと感じることがある。後日、M240と取り比べて検証しようと思う。
VISOFLEXを使うと、M10-Dに電子ビューファインダー機能を付加することができる。筆者も、M10-D購入と同時に電子ビューファインダーVISOFLEXを購入したがこの1ヶ月間ではまだVISOFLEXを使ったことは無い。いや実際の撮影時にVISOFLEXをカメラに取り付けたこともない。M240を使っていた頃は、APO MACRO ELMARIT-R 100mmなどの距離計に連動しないレンズを使う機会もありフォーカスを行うために電子ビューファインダーが必須であったが、M10-Dではこの1ヶ月スナップ撮影を行うことが多く、距離計に連動する50mm、35mm、21mmしか使っていないのでまだVISOFLEXは必要性が無い。
VISOFLEXを使うと、暗い場面でもフォーカスしやすくなり、また、望遠系レンズやNOCTILUX 50mm f/0.95などの明るいレンズでも精密なフォーカスができるのでいつかVISOFLEXを使う機会もでてくるだろう。
標準系レンズでスナップ撮影を行う際にはレンジファインダーだけでM10-Dを使うことができる。また、VISOFLEXを付けるよりもM10-Dそのままの姿が美しいと思う。
立木義浩氏、写真展にて。ライカM10-D + Summilux-M 50mm f/1.4 first + VISOFLEXで筆者撮影。
(2019/9/1追記)上記作例は立木義浩氏、写真展のレセプションにて、暗い場面でもVISOFLEXを使えば素早く正確にフォーカスできた。
レンジファインダーは暗い場面や望遠系レンズでのフォーカスが難しい。それを解決するのが外付けビューファインダーVISOFLEXだ。VISOFLEXを使えばファインダーの中央部分を拡大して正確にマニュアルフォーカスできる。暗い場面でもフォーカスする際もVISOFLEXを使えば簡単にピント合わせできる。通常のM10-D利用時にはレンジファインダ0のみを使い必要な時だけVISOFLEXを使えるよう筆者はカメラバッグの中にいつもVISOFLEXを入れている。VISOFLEXは小さくて軽いのでカメラバッグ内の容量を専有することもない。
M10-Dを使うなら、VISOFLEXの購入をおすすめする。
関連記事: ライカ M10-D Visoflex (typ 020) 電子ビューファインダー レビュー
M10-Dで撮影した写真の品質には大満足している。RAW撮影を行うと多少の露出ミスや撮影後に露出もRAW現像で簡単に行うことができる。筆者は、RAW現像はAdobe LightroomまたはPhotoshopで行っている。M10-Dを使って写真を撮影する場合、RAW撮影+RAW現像は必須と言える。JPG撮影、JPG撮って出しと比べると、RAW現像を行う際に露出補正を行ったりトリミング、または色味、コントラスト補正、傾き補正も行うことができ、写真を「撮影する」楽しみに加えて、写真を「現像する」楽しみも味わうことができる。
M10-Dの撮影写真サイズは2400万画素(約4000 x 6000ピクセル)だ。他社製メーカーではもっと高画素のカメラも存在し、例えばNIKON Z7は4500万画素、SONY α7 RⅢは4240万画素、EOS 5Dsは5060万画素である。筆者がこの5年間ライカを使った感想としてはM240も2400万画素、M10-Dも2400万画素であるが画素数は必要十分以上でありまた運用を考えてもベストな画素であると感じている。2400万画素のM10-Dの撮影データは、jpgデータサイズが約6メガバイト前後(4~8MB)、RAWデータは24メガバイト前後(20~28MB)である。画素数が2倍になると単純計算でデータサイズが2倍になりハードディスク容量を圧迫してしまう。実際にスマホやパソコンで写真を鑑賞する際は画像サイズは横2000ピクセル程度あれば十分以上である。2000ピクセルあればA4サイズに印刷しても十分にきれいだ。M10-Dは横6000ピクセルもあるので、RAW現像を行う際に傾き補正やトリミングを行ったとしても、A4サイズで鑑賞する、またはスマホやPCで写真鑑賞するには十分以上にオーバースペックであるとも言える。写真の画素数が大きくなるということは1画素あたりに届く光も弱くなり高感度耐性も低くなってしまうのでライカが採用している2400万画素は5年10年先にデータを活用すると考えても必要十分なスペックといえる。
ライカM10-Dのシャッターフィーリングについてのレビュー。
(2019/3/23追記)M240とM10-Dの両方を使っているがM240とM10-Dのシャッター音を比べると、M10-Dのシャッター音は本当に静かである。5年前にM240を始めて触った時には(その頃使っていた)NIKON D4という一眼レフと比べてあり得ない位静かなシャッター音だと感動したものであるが、その静かなシャッター音であるM240と比べてもさらに静かなシャッター音だ。M240のシャッター音は、コトン、またはプシュンという小さなシャッター音であるがM10-Dのシャッター音は体感でM240の1/2~1/4くらい静かな音でプシュンまたはポションという音が小さく聞こえる。騒がしい屋外で撮影する際には自分にも聞こえないのではと思うくらい静かな音である。
シャッター音が静かだからスナップ撮影時にも被写体に撮影することを意識させることなくその場の空気感をそのまま撮影できる。
ライカ M10-D のシャッターボタン押下からシャッターが切れるまでの反応速度は十分に高速だ。撮りたいと思った被写体の瞬間を思い通りに切り撮ることができる。M10-Dはレンジファインダーカメラなのでシャッターが切れる瞬間もファインダー内がブラックアウトしないということが素晴らしい。
M10-Dのシャッター反応は早い、とは言っても国産機のプロ用一眼レフ NIKON D4のシャッターと比べるとほんの少しだけ遅いと感じる。スポーツ写真などの決定的瞬間を撮るのでなくスナップ写真撮影する程度ならその差は気にならない程度で十分に高速なシャッター反応速度だ。
しかし、VISOFLEXを利用するとその印象は変わってしまう。VISOFLEXを使って撮影する場合、シャッターボタンを押してシャッターが切れるまで、VISOFLEX無しと比べてほんのワンテンポだけ遅くなる。VISOFLEX内に表示される映像は実際に撮影に使うCMOS画像センサーを使ってリアルタイム表示されているので写真撮影を行うためには「1.開いた状態のシャッターを閉じる」「2.シャッターを開いて写真撮影する」のように「1のシャッターを閉じる」ためにかかる分ワンテンポ遅れるのだと思う。また、VISOFLEXを覗きながら撮影すると一般的なミラーレスカメラや一眼レフと同様に画面がブラックアウトしてしまうのでレンジファインダーの良さが失われてしまう。
ライカM10-Dは、FOTOSアプリを使って連写モードにすると秒速5コマ/秒の高速連写撮影を行える。LEICA M240が秒速3コマ/秒撮影だったことと比べると大幅に高速連写できるようになった。秒速3コマ撮影では連写しているという感覚が無かったが秒速5コマにもなると連写撮影のメリットを感じることができる。ライカはオートフォーカス機能もなく望遠撮影にも弱く(ピントを合わせづらい)
M240はシャッターボタン近くに付いていた電源スイッチをスイッチONよりもさらに回すことにより連写モードにすることができた。M10-Dはシングル撮影モード、連写モード(低速、高速)、セルフタイマーモードを切り替えるにはM10-D本体のみで行うことができずFOTOSアプリを使って行う。シングルシャッターモードのみを使う場合は問題無いが、シングルシャッターモード、連写モードを切り替えて使いたいという方にとってはモード切り替えにFOTOSアプリを使わなければならないのは少々面倒である(FOTOSアプリを使ってM10-Dとスマホを接続するには30秒かかる)。
この1ヶ月間、シングル撮影モード、連写モードのどちらも使ってみた。高速連写5秒/コマモードにすると人混みを撮影する時など刻々と変化する被写体を連写撮影して写った写真の中から最もタイミングやピントの良い写真を選ぶ、という使い方もできた。選ぶことにより良い写真を取り出すことができるかも知れないが選ばれなかった写真データが大量発生してしまうことがどうにも気持ち悪かった。ニコンD4などの高速連写一眼レフを使えばどんな場面でも高速連写することができるが、ライカは一写入魂が似合う。多少ピントが合っていなくても多少被写体の形が悪くてもそれが絵になるのがライカなのだ。現在では連写モードを使わずシングル撮影モードを使っている。連写モードとシングル撮影モードの切り替えは(FOTOSアプリを使って設定変更する必要があるので)面倒であるが真のライカユーザーなら、きっとシングルモードのみを使って撮影することになるだろう。ライカM10-Dならカメラボディーに連写スイッチが付いていなくても大丈夫。
ライカM10-Dの内部バッファサイズは2GBである。ライカM240の内部バッファサイズが1GBであること比較すると内部バッファは2GBと十分な大きさである。M240では20枚くらい連写すると内部バッファがいっぱいになりシャッターを押せなくなったが内部バッファの大きいM10-Dなら高速連写を続けたとしてもすぐにバッファがいっぱいになることは無い。
NIKON D4とライカM10-Dとの大きさ比較
ライカM10-Dは他社製メーカーの一眼レフと比べても小さくて軽い。またレンズも明るいレンズでも小型のものが多く撮影サイズ撮影重量としては小型で軽量などがありがたい。ニコン、キヤノン、ソニーなどのミラーレスカメラと比べるとボディー重量は重いが同じスペックのレンズを比べるとライカの方がほぼ小型軽量なので全体として丁度良いサイズと言える。
コンパクトカメラやスマホと比べるとライカM10-Dはサイズも重さも大きくなってしまうがそもそも使用目的が異なる。スナップ撮影や写真撮影を楽しむには、一眼レフと比べると威圧感の少ない、またシャッター音も小さいM10-Dは他のどのメーカーも真似できない大きな魅力を持っている。
ライカM240を今まで5年間使用していた筆者がライカM10-Dを使い始めて変わったことは次の通り。
以前はM240に常に電子ビューファインダEVF2を付けっぱなしにしていただ。50mmレンズで撮影する際もいつもEVF2を使ってピント合わせを行っていた。
ライカ M10-Dを購入した際、同時に電子ビューファインダーVisoflexも購入した。電子ビューファインダーの見え方や機能はM240と比べて大幅に向上したが使用頻度は大幅に減った。カメラを保管する際も、また撮影に出かける際もVisoflexは取り外した状態で使用し常にレンジファインダーのみで撮影するようになった。なぜ電子ビューファインダーを使う機会が少なくなったのかその理由は3つある
理由1、M240を購入した頃はM240以上に一眼レフNikon D4を使う機会が多くレンジファインダーでの撮影になれていなかった。M10-Dを購入した際は意図的にレンジファインダーで撮影したところレンジビューファインダーで撮影することの楽しさに気づいてしまったのだ。
Visoflexを使うとシャッターを押して撮影するまでのほんの一瞬のタイミングが、Visoflex無しと比べてほんの少しだけワンテンポ遅れてしまう。これはCMOSセンサーに写った映像をVisoflexに映し出すという仕組み上仕方ないことではあるが、M10-Dは背面液晶も無い分、Visoflexを使うと本当にテンポ良く撮影できる。このテンポの良さを生かすにはVisoflexは使わない方が良い。M240を使っていた頃は、EVF2を使っても使わなくても撮影直後に撮影写真を表示させたり、または確認したりと無意識のうちに無駄な時間を過ごしていた。M10-Dは背面液晶も無いので撮影写真を確認することなく本当にテンポ良く撮影できる。このテンポの良さも撮影する楽しさの理由の一つである。
理由2、M240を使用していた頃は、APO MACRO ELMARIT-R 100mm f/2.8や、Summilux 21mm f/1.4など、距離計に連動しないレンズ、またはレンジビューファインダーで撮影範囲を見ることができない(レンジビューファインダは、28mm、35mm、50mm、75mm、90mm、135mmに対応)レンズを使用する機会が多かったがM10-Dでは、50mm、または35mmを使う機会がほとんどのため。たまに使う21mmレンズを使う時のみVisoflexを使っている。50mmレンズ、35mmレンズを使う際はVisoflexを使うよりもレンジビューファインダーを使う方が素早くフォーカスでき、また撮影範囲がも見えるので構図も決めやすいメリットもある。
理由3、ライカM10-DはVisoflexを使用しない姿の方が美しい。カメラの上は平らで何も付いていない姿が本来のM型ライカの姿なのである。
なお、薄暗い場面、または暗い場面を撮影する時、またはより精密なフォーカスを求める時はVisoflexを使った方が撮影しやすい。Visoflexを使う機会は減ったがVisoflexは小さくて軽いので、もしもの時の保険として常にカメラカバンに入れている。
M10-Dは、M240を使うよりも撮影することが半端なく楽しい。M10-Dを使い始めてM型ライカがもっと好きになった。
M240は職場で保管しており、M10-D職場に持って行ったり週末は自宅に持って帰ったりしている。つまり、職場にいるときは常にデスクの近くにライカ(M240またはM10-D)があるので、少し早めに出勤してお散歩撮影したり、昼休みに撮影を楽しむこともある。ライカが2台あれば万が一どちらか1台が故障したとしてもライカでの撮影を休むことは無いというメリットもある(M型ライカが故障した場合、ドイツ本国送りになると修理完了まで1ヶ月以上待つことになってしまう)。
ライカM10-Dで撮影することは楽しい、撮影する機会も増えた。そして新しいレンズが欲しくなった。M10-Dは見た目がオールドカメラだから、見た目的にもオールドレンズがよく似合う。M10-Dを購入した後に我が家にやってきた新しいレンズは次の通り。今後別途レビューを掲載予定だ。
Leica Summilux-M 50mm f/1.4 first(貴婦人)、1959年製
ライカ アポ ズミクロン f/2.0 50mm ASPH. LHSA (外観は1960年代のライカレンズ風)
ライカ Summilux-M 35mm f/1.4
主要通販サイトでライカM10-Dの価格を調査し、安く購入できる、かつ発売日に購入できる可能性が高いオンラインショップリストはこちら。表示価格は変更される可能性があるので、下記リストを全てチェックしてみよう。
関連リンク: ライカ M10-D 公式サイト
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