左から LEICA M10-D Summilux-M 35mm f/1.4、LEICA M240 Noctilux-M 50mm f/0.95、LEICA M3 Summicron-M 50mm f/2(筆者撮影)
2013年12月にLEICA M240を購入した筆者はその5年後の2018年12月にLEICA M10-Dを買い増しした。現在M10-Dをメインで使用しているがM240とM10-Dの両者を比較して機能の違い、進化した点、逆に不便になった点も含めてレビューする。
2018年10月24日に、ライカの新型レンジファインダーカメラM10-Dが発表された。筆者はすぐにその情報を知り10日ほど悩んだ後、11月6日にM10-Dを注文し12月27日にM10-Dを入手した。M10-Dを購入する前に、最終的にM10-D購入しようと思った理由は次の通りである。
M240(左)、M10-D(右)背面比較。
筆者はM10-Dの発表を知る4ヶ月前の2018年7月にLEICA M3を入手した。M3は50年以上前のカメラであるが銀色に輝いておりシンプルなデザインが美しい。なめらかななフイルム巻き上げレバー、遊びの無い操作ダイヤル、Mレンズと連動した距離計連動レンジファインダーは50年経過した今でも精密に機能する。M3は電池を用いずにシャッターもフイルム巻き上げも全て機械的に動作する。M3はフィルムカメラなので当然背面液晶画面は付いていない、背面には円形のISO設定ダイヤルが存在する(M3のISO設定ダイヤルは電気的機械的にカメラと連動しているものでなくカメラの中に入っているフィルムのISO値をメモ的に記録しておくためのものである)。そんなM3が生まれた時代は筆者はまだこの世に生まれていなかった。発売から50年経った今M3を見ても本当に美しいと思う。それは、50年前に活躍した映画女優の写真を見て美しいと思う気持ちに似ている。M3に恋したとしてもその恋が叶うこはない。M3と同じ時代を生きたかった、と思っていたところにこのM10-Dの発表である。同じ時代を生きることは無いだろうと思っていた美しいカメラが突然目の前に現れた。M10-Dの姿を見た瞬間、恋に落ちた。一目惚れである。好きな気持ち、愛する気持ちは誰も止めることができない。
M10-Dは美しい、それが一番の購入理由である。
M240(左)、M10-D(右)前面比較。
商品デザインには2種類がある。一つは様々な機能を詰め込み、操作ボタンやダイヤルをできるだけ多く配置した機能詰め込み型デザイン。もう一つはできるだけ機能や操作ボタンを排除し必要最小限の見た目と機能を実現したミニマルデザインである。M10-Dは後者のミニマルデザインのカメラである。
国産の一眼レフカメラと比べるとM240も十分その姿は美しいと思っていた。しかし、M240とM10-Dを比べるとその何倍もM10-Dが美しいと思う。M10-Dはなぜ美しいのだろうとその理由を探ってみた。
デジカメなら背面液晶が付いている、背面液晶で撮影した写真を確認できるというのが常識であった。しかしM10-Dには背面液晶画面が無い。M240、M10、M10-Pについている背面液晶横のボタンも存在しない。背面液晶の代わりのカメラの背面にはM3と同様の円形のダイヤルが付いている。M3はカメラ内に入っているフィルムのISO値を記録メモするための円形ダイヤルであったがM10-Dの円形ダイヤルは外側と内側の二重構造になっており、外側のダイヤルが電源スイッチ(OFF/ON/Wi-Fi ONを切り替え可能)、内側のダイヤルで露出補正を行うためのものである。液晶が無くなることによりすっきりとした印象になり、M3を美しいと感じていた人がより美しいと感じるのだろう。
M10-Dは背面液晶だけでなくM240で存在した背面のボタン類や、M240でシャッターボタンの前に存在していたシャッターモード切り替えスイッチも消えた。
M10-Dでシャッターモード(シングル撮影、低速連写、高速連写、セルフタイマー)の切り替えを行うにはスマホと連動させてFOTOSアプリで行う。また背面液晶の代わりにFOTOSアプリを使ってスマホ上から撮影画像を閲覧できる。M240の背面の各種ボタンの代わりにFOTOSアプリを使ってカメラの設定を変更することができる。単にごちゃごちゃとしてスイッチ類や画面をカメラから排除するだけでなく必要な機能はスマホと連動させて実現するという考え方なのである。M240が発売された5年前と比べると2019年の現在は誰もがスマホを持っている時代、そしてスマホの画面も美しく大きく高性能になった時代だからこそ実現できたのだ。M10-Dはライカレンジファインダーの伝統的なデザインを継承しつつ、最先端の革新的な機能もカメラに搭載するという伝統と革新が融合されたデザインからくる美しさなのである。50年前にM3という美しいカメラを生み出したライカが作るから美しいカメラに仕上がったのである。もしニコン、キヤノン、ソニー、富士フイルムなどの国産カメラメーカーが同じデザインのカメラを発売したとするとそれは伝統ではなくパクリになってしまう。
M10-Dをライカで実現したからこそこれほど美しいカメラに仕上がったのだろう。
M240(左)、M10-D(右)上面比較。
M3、M240、M10-D他のライカ レンジファインダーカメラのサイズ・重さは次の通りである。
型番 | 発売日 | 幅 | 高さ | 厚さ | 重さ |
---|---|---|---|---|---|
M3 | 1954年 | 138mm | 77mm | 33.5mm | 595g |
M240 | 2013.3 | 139mm | 80mm | 42mm | 680g |
M262 | 2014.12 | 138.6mm | 80mm | 42mm | 600g |
M10 | 2015.12 | 139mm | 80mm | 38.5mm | 660g |
M10-P | 2018.8 | 139mm | 80mm | 38.5mm | 675g |
M10-D | 2018.11 | 139mm | 80mm | 37.9mm | 660g |
M240とM10-Dを比べると、M10-DをM240と比べるとボディの厚みが4.1mmスリムに(42mm⇒37.9mm)、20g軽く(680g⇒660g)なった。ちなみにM10-Dと同世代の背面液晶付きデジカメM10-Pと比べてもM10-Pはボディの厚み38.5mm、重さ675gでありM10-Dの方がスリムで軽い。M typ 262が重さ600gと軽いのはトップカバーの材質を真鍮でなくアルミのため。
50年前のレンジファインダーカメラLEICA M3と比べるとまだM3の方がスリムで軽いが、それでも美しいM3にまた一歩近づいた。M240と比べるとボディの厚みが42mm⇒37.9mmと2.1mmスリムに、重さは680g⇒660gと軽くなった。その差はほんのわずかかも知れないが両者を比べると見た目M240の方がぼってりぽっちゃり型、M10-Dの方が洗練された美しいボディに見える。ちなみに、M10-Dのトップカバーのみの厚さは実測値で34mmである。
ライカで撮影することは楽しい。国産の一眼レフやミラーレスカメラまたはスマホのカメラ機能では撮影できないライカらしい写真を撮影することができる。ライカはオートフォーカス機能もなく不便であるが自らフォーカスリングを回してピントを合わせ露出を決め、一枚一枚シャッターボタンを押して撮影することは「カメラが写真を撮る」のでなく、「自分が写真を撮る」という写真撮影の本来の楽しさを思い出させてくれる。
M10-Dの発表記事を読んで背面液晶画面が付いていないことを知った。そして今までM240で撮影する時、背面液晶画面をどのように使ってきただろうかと考えた。撮影した直後に画面で確認することも多く、背面液晶画面に気をとられてリズム良く撮影できないこともあったと気づいた。M10-Dはカメラ本体で撮影画像を確認することができないので撮影することそのものに集中できるのではないかと思った。
さらに、M10-DはスマホでFOTOSアプリを使うことによりスマホで撮影画像を確認するもできる。
撮影中は背面液晶に気をとられることなく撮影に集中できることに加えて、必要な時はFOTOSアプリで撮影画像を確認することもできることもM10-D購入理由の一つである。
ライカが背面液晶無しのデジタルカメラを発売したのは今回が初めてでは無い。過去には2014年にM型ライカ60周年を記念した「ライカM Edition 60」が600台限定で発売された。2016年にはM240から背面液晶と動画撮影機能を取り除いた「M-D」が発売された。
ライカM Edition 60はレンズとセットで実売価格約230万円の高額で600セット限定販売されたが2019年2月現在、まだ売れ残っている。M-Dはボディのみ実売価格約83万円である。
M Edition 60もM-Dも、背面液晶画面が無いという点ではM10-Dと同じである。M Edition 60もM-Dもシンプルな背面デザインが美しい。しかしM10-DはM Edition 60、M-Dと比べるとはるかに美しい、その美しさの秘密が機能美である。
M Edition 60、M-Dは記録画像はRAW画像のみでありjpg画像記録できなかったがM10-Dはjpg画像も保存できる。M Edition 60、M-Dはメモリーカードを取り出してパソコンなどで確認しない限り画像確認できなかったが、M10-Dはスマホと連動させてLEICA FOTOSアプリを使って撮影画像を確認できる。M Edition 60、M-Dは液晶画面が無かったので当然ライブビュー撮影できなかったがM10-DはFOTOSアプリを使ったり電子ビューファインダーVisoflexを使ってライブビュー撮影を行うこともできる。外出先で撮影画像をスマホにダウンロードしてそのままAdoeb Lightroomアプリで現像したり、インスタグラムやfacebookなどのSNSへアップロードすることもできる。また、M10-DはFOTOSアプリを使ってカメラの各種設定変更を行うこともできる。
カメラから背面液晶やボタン類を省くだけでなくスマホと連動させることにより革新的な機能を付加ししたことが大きな魅力の一つである。
実際のカメラの操作の流れに沿ってM240とM10-Dとの操作方法の違いについてレビューする。
M240はカメラを手に構えてシャッターボタンの前にあるスイッチを人差し指で右側に引くことによりカメラの電源をONする。スイッチ1段目はシングル撮影モード、2段目は連写モードである(M240は秒速3コマ/秒で撮影できる)。
M10-Dはカメラ背面の円形ダイヤルの外側部分が電源スイッチである。ダイヤルを左回転させることによりカメラの電源をONする。さらに、シャッター巻き上げレバー風のサムレストを引き出してグリップすることにより気持ちも撮影モードONになる。サムレストによりしっかりとホールディングすることができることは今までのデジカメでは感じない新しい感覚だ。
M240は右手人差し指を使って電源スイッチをON/OFFする際、スイッチは軽く回りしっかりとしたクリック感もあるのでカチカチと簡単にON/OFFしやすい。M10-Dは背面のダイヤルを見ながら右手親指でダイヤルを回す際、(筆者が使っているカメラケースのためか)ダイヤルを回転しづらくクリック感は鈍い。そのため、M240は煩雑に電源をON/OFFさせていたが、M10-Dは電源をONした後にしばらくそのまま使い続けることが多くなった。M10-Dは電源ON状態でしばらくカメラを使用しないと自動的にスリープモードに入る。シャッターボタンを半押しすることによりスリープモードから復帰する。
M240、M10-Dはマニュアルフォーカスカメラのためファインダーを覗きながら手でフォーカスリングを操作してフォーカス合わせを行う。ビューファインダー中央に見える二重像を合致させることによるマニュアルフォーカスは50年前から変わらないライカレンジファインダーの操作方法だ。
現代の一眼レフやミラーレスカメラ、またスマホのカメラ機能はシャッターボタンを押すだけで自動的にフォーカスが合う便利な機能が当たり前のように搭載されている。M240、M10-Dは現代のオートフォーカスカメラと比較するとフォーカス合わせにほんの少しの時間がかかるが二重像合致方式に慣れれば比較的高速のフォーカスを合わせられるようになる。また街中を撮影するスナップ撮影であればカメラのフォーカス指標を2~3m付近に合わせて絞りをf5.6よりも十分に絞り込めばパンフォーカス撮影も行うこともできる。
M240とM10-Dのビューファインダーを比べると、メガネかけていてもファインダーが見やすくなった印象がある。ファインダー倍率はM240が0.68倍、M10-Dが0.73倍と若干大きくなった点でフォーカス合わせもしやすくなった。ちなみに、LEICA M3のファインダー倍率は0.91倍である。
二重像合致方式のフォーカス合わせについては、M240とM10-Dを比べるとM240の方がコントラストがはっきりとしてピント合わせしやすい印象だ。明るい場面などでM10-Dは二重像のコントラストが薄くてフォーカス合わせがしづらいと感じることがある。本記事を書いている時点で実質利用1ヶ月程度のため、もう少し使い込んだ上で再度両者のファインダーの違いを比較したいと思う。
M240のファインダー倍率は0.68倍、M10-Dのファインダー倍率は0.73倍、M240と比べると若干ファインダー倍率が上がった。両者を同時に使わない限り倍率の違いについては気づかない程度である。
M240、M10-Dともに視野率は100%以上である。撮影できる範囲の外の範囲まで見えるのがレンジビューファインダーの特徴である。広い範囲が見えており、その中から実際に撮影できる範囲に白い枠が表示されている。レンジビューファインダーは、焦点距離の違うレンズをカメラに付けてもファインダーから見える範囲は変わらず望遠レンズを付けると撮影範囲が中央に狭くなり、広角レンズを付けると撮影範囲の枠が広くなる。
国産一眼レフ、ミラーレスカメラはプロフェッショナル用の機種などの高価な機種ほど視野率が100%に近づいた、エントリー機種普及機種では視野率90%余りと視野率が狭いこともある。
視野率100%以下の一眼レフはファインダーを覗きながら「撮影する範囲を探す」というイメージであるが、M240、M10-Dのレンジビューファインダーは視野率は100%以上なのでファインダーから見える範囲から「撮影する範囲を切り取る」という感覚である。
右手人差し指でシャッターボタンを押すと、プシュンという小さな音でシャッターが切れて写真が撮れる。M240、M10-Dともにシャッター音は非常に小さい。街中でスナップ撮影すると自分にも聞こえるかどうかくらいの小さな音なので恐らく被写体には聞こえない。筆者は所有していないが、M10はシャッター音が大きいというネット上の口コミを見る。ライカによるとM10-P、M10-Dはライカ史上最もシャッター音が小さいと公式発表されているのでかなり小さいシャッター音なのだろう。M240でも十分にシャッター音が小さく、M10-Dの小さなシャッター音には満足している。国産のプロ用デジカメのカシャカシャカシャ、またはガガガガガッというマシンガンのような大きなシャッター音とは比べものにならないほど美しいシャッター音である。
国産一眼レフのシャッター音を騒音レベルとすると、ライカM10-Dのシャッター音は音楽のようである。これほど心地よいシャッター音は国産カメラでは作ることができない。シャッター音まで美しくデザインするのがライカなのだ。
M240は、EVF2という電子ビューファインダーを使うことによりライカRレンズや社外レンズなどの距離計に連動しないレンズを使うことができる。
M10-Dは、Visoflexという電子ビューファインダーを使うことによりライカRレンズや社外レンズなどの距離計に連動しないレンズを使うことができる。ちなみに、M10-Dで使用するVisoflexはLEICA Tでも利用できる。
電子ビューファインダーを使うことにより、明るいレンズや望遠レンズなどのレンジファインダーでフォーカスしづらいレンズで精密なフォーカスができること、また電子ビューファインダーを上に跳ね上げることによりウェストレベル撮影ができることが大きなメリットである。その他、Visoflexを使うことにより、撮影時に撮影場所のGPS情報を撮影データに記録することもできるので旅先など普段撮影する場所以外で撮影する際は後からjpgデータを見て撮影場所が分かることはメリットである。
M240の電子ビューファインダEVF2とM10-Dの電子ビューファインダーVisoflexを比較すると一番の違いはVisoflexの方が格段に解像度が上がったこと。EVF2では拡大表示しないとピント合わせが難しかったがVisoflexは拡大表示を行わなくてもなんとかピント合わせができるレベル。また、M10-D+Visoflexを使った後にM240+EVF2を使うと現代のテレビと比べて昔のアナログテレビを見ているかのような画質の粗さである。それだけ、Visoflexで画質が良くなった。
EVF2の解像度は140万画素、Visoflexは240万画素であるがその画素数以上にVisoflexは高精細であると感じる。
M240で電子ビューファインダーEVF2を使う際、拡大表示できるのは中央部分のみであったが、M10-DでVisoflexを使う場合、ボディー手前の拡大表示ボタンを押した後に右手親指でサムホイールを回すことにより拡大表示位置を左右に移動できるようになった。M10-Dには十字キーが付いていないので拡大位置の上下移動はできない。
M240、M10-Dともに写真データのファイルサイズはほぼ同じ、jpg画像のピクセル数は同一、しかしRAWデータのピクセル数はわずかにM240の方が広いことが分かった。M10-DでわずかにRAWデータのピクセル数が小さくなったが3992⇒3984ピクセルとわずかに8ピクセルの違いなので使用感は変わらない。
M240のjpgデータは4~9MB程度、平均7MB程度、RAWデータ(拡張子は.DNG)の大きさは18~28MB程度、平均23MB程度である。jpgデータ画素数は 5952 x 3968ピクセル、RAWデータの画素数は 5976 x 3992ピクセルと縦横ともに24ピクセルRAWデータの方が広い。
M10-Dのjpgデータは4~9MB程度、平均7MB程度、RAWデータ(拡張子は.DNG)の大きさは18~29MB程度、平均23MB程度である。 jpgデータ画素数は 5952 x 3968ピクセル、RAWデータの画素数は 5976 x 3984ピクセルと縦横ともに24ピクセルRAWデータの方が広い。
M10-Dは低感度、高感度ともに強くなった、M240とM10-DのISO感度設定幅を比較すると、M240は常用感度はISO 200~3200まで設定できる。M10-Dはカメラ上部に付いているダイヤルでISO 100~6400まで、自動ISO感度設定変更でISO感度上限50000まで利用できる。
ISO感度設定操作の違いは次の通り。
M240は背面液晶左にあるISOボタンを押しながら右手親指でサムダイヤルを回転させることによりISO感度設定を変更できる。現在のISO感度設定値は背面液晶に表示される。M240では感度拡張機能を使うと、低感度側はPULL 100まで、高感度側はPUSH 6400まで設定できたが、拡張感度設定するとダイナミックレンジは狭くなる。
M10-Dはカメラ上部の背面から向かって左上のISO感度設定ダイヤルを引き上げて回転させることによりISO 100~6400、A(ISO感度自動)を変更できる。ISO感度自動設定の上限設定はFOTOSアプリを使い最大ISO 50000まで設定できる。ダイヤルは引き上げるとアンロックされ、押し込むとロックされ不用意にダイヤルが回転することは無い。M10-Dは機械式ダイヤルで設定変更するので電源のON/OFFに関わらずいつでもISO感度設定および確認できるのが便利だ。
M10-Dは高感度耐性が上がり、さらに低感度側でISO100まで常用できることようになったことがありがたい。というのも、Summilux f/1.4やNoctilux f/0.95などの明るいレンズを昼間でも開放または開放付近で使えることになったメリットが大きい。ライカサポートセンターに問い合わせて見たところ、M10-DではISO200よりもISO100で撮影した方が画質が良くなるそうだ。
M10-Dは、高感度耐性、低感度耐性が広がったのでレンズの絞りとシャッター速度をマニュアル設定した上でISO感度を自動設定で利用するというフイルムカメラ時代には考えられなかった便利な使い方もできる。
M10-Dは背面円形ダイヤルで露出補正を行うことがきる。ISO感度設定と同様に、電源ON/OFFに関わらずいつでも露出補正設定を確認・変更できるのは便利である。
ちなみに、M240で露出補正を行うにはファインダーを覗きながら背面側から向かってカメラ前面右のボタンを右手人差し指で押しながら右手親指で背面右上のサムホイールを回すことにより行う。
M240、M10-Dともに非常にダイナミックレンジは広く、露出オーバーよりも露出アンダーに強いので筆者は露出補正-1/3で撮影することが多い。
M240バッテリー(左)、M10-D バッテリー(右)
M240とM10-Dのバッテリーを比較すると物理的にはM10-Dのバッテリーの方が小さくなった、M240用のバッテリー(Leica 14499 BP-SCL2)の容量は1800mAh、M10-D用のバッテリー(Leica 24003 BP-SCL5)の容量は1100mAhとM240のバッテリーと比べると容量が約61%にダウンした。バッテリーが小さくなったことによりカメラボディーを少しだけ薄くできたというメリットがあるが実際にカメラを使った感覚でもM10-DのバッテリーはM240よりも早く減る感覚である。
カメラの電池消費量を比べるとM10-Dは背面液晶画面が無くなった分電池消費量が減っているはずであるがそれ以上に電池自体の容量減による影響が大きいのだろう。M240は一日中撮影していても電池残量が無くなる心配は無かったがM10-Dは一日中撮影していると数時間後には電池残量が30%程度まで減ってしまい残量が気になることがあった。
M10-Dを購入した際は予備のバッテリーをもう一つ購入することをお勧めする。
M240にできてM10-Dにできないことの一つは動画撮影が行えないということ。M240には動画撮影機能が付いていたがその後に発売されたM10やM10-Pにも動画撮影機能は付いていない。M240で動画撮影機能を使うかというと、筆者は購入直後に試し撮りした程度で動画撮影することは一度も無かった。動画撮影したい場合は、スマホ、または動画専用のビデオカメラを使って行っている。
M240でなぜ動画撮影を行わなかったかというと、本体に付属のマイクがショボくてモノラル録音しかできない。ステレオ録音するには外付けのステレオマイクを購入する必要がある。レンズがマニュアルフォーカスレンズなので、動く被写体を撮影するのが面倒である。つまり、M240に動画撮影機能がおまけ程度に付いているが余りに機能が中途半端過ぎて動画撮影を使うことは無かった。また、ライカレンズで撮影したスチール写真(普通の写真)はボケも美しく多少の周辺減光もあり味のある写真を撮影できたが、その画像が動く動画となると、少々不自然に感じた。動画を撮影するにはビデオカメラを使うか、または旅先などでちょっとした動画を撮影したい場合はスマホで十分である。
結論として、ライカに動画撮影機能は不要。M10-Dで動画撮影を行えないけど困ることは一度もない。
M240のブラックボディは真鍮にブラックペイントを施したものだ。M10-Dのブラックボディは真鍮にブラッククロームメッキを行ったものである。
ライカ ブラックペイントとブラッククローム質感の違いについて。ブラックペイントのM240はボディーがより黒くつや光りしている触った感触はツルツルしている。ブラッククロームのM10-DはM240と比べると明るい場所でみるとほんの少し灰色に見えるつや消しブラックだ、そしてボディ表面を指で触るとざらざらしている感触だ。
エイジングといって長期間使った場合のブラックの色の変化について。ブラックペイントのM240は長期間使用すると角のブラックペイントがはげて中から真鍮の色が見えてくる。ライカのブラックペイントの魅力は塗装が少しはげて中から真鍮が覗いたとしてもそれがまた味のある見た目になることである。ブラッククロームのM10-Dはブラックペイントと違い塗装でなくメッキであり黒い色がはげづらく黒色が長持ちする。筆者使っているM240はまだ塗装剥がれは起きていない。M10-Dは購入して1ヶ月半であるがカメラバッグに入れていた際にカメラバッグ内のファスナーと天板がこすれたほんの少しだけ一部のメッキが薄くなった箇所があり見た目は薄い銀色が出てきたように見える。さらにはげたら真鍮が見えるのだろうか。ライカのカメラやレンズはボディが金属製でできており国産のプラスチック製品と比べてより長持ちする。そして塗装やメッキが剥がれてしまったとしてもそれは味のある姿に変化しより愛着がわいてくるのである。
日本国内では、塗装がはげて真鍮が見えるブラックペイントが人気であるが、耐久性の面でいうと海外では塗装(メッキ)が剥がれづらいブラッククロームが人気であるらしい。
M10-Dのブラックはブラッククロームのみでブラックペイントボディを選ぶことはできない。どうしてもブラックペイントが欲しいという方はM240を購入するという手もあるが、機能、性能、デザインの全てが大きく進化したM10-Dは大きな魅力で溢れており、今M型ライカを購入するとすると、筆者としては、M10-D、または、M10-Dに背面液晶が付いたM10-Pをおすすめする。
M10-Dの発表時には、背面液晶画面が無くなったことにより撮影に集中できるという記事が多数上がっていたがM10-Dを約1ヶ月半の間実際に使ってみた感想は次の通り。
上記の通り、M10-Dに背面液晶が無いことはデメリットよりもメリットの方が遙かに大きい。M10-Dを購入して本当に良かったと思う。
M240とM10-Dの連射性能を比較を行う。
1.内部バッファメモリサイズについて。M240は内部バッファメモリサイズは1GB、M10-Dのバッファメモリサイズはその2倍の2GBである(M240の次の機種M240-Pも内部バッファメモリは2GBだった)。バッファメモリとは写真を撮影した際にSDカードに保存される前に一時的にカメラ内部で保持される高速アクセスメモリのことである。SDカード保存には若干の時間がかかるので撮影を行った直後に内部バッファメモリにデータが保存され、そのバッファメモリから順にSDカードに写真データが書き出される。M240はバッファメモリが1GBだったので、短時間に何枚も写真を撮影した際にバッファメモリがいっぱいになるとバッファに空きができるまで撮影できなくなってします。M型ライカは国産一眼レフのようにパシャパシャと連射する使い方を余り行わないので通常の街中スナップを撮影する程度であれば内部バッファメモリ不足に悩まされる必要も無い。しかし、刻々と変わる場面を次々と撮影する場合、または連射モードで短時間に大量の写真を撮影する場合はM240でバッファメモリ不足により撮影できなくなることがたまにあった。M10-Dは単純に内部バッファメモリがM240の2倍の2GBになったのでその分連射に強くなったと言える。
2019年4月1日、新元号 令和発表の日、有楽町で号外配布のために集まった群衆
M240 & Summilux-M 21mm f/1.4 ASPH.で撮影
上記写真は2019年4月1日、新元号 「令和」発表の日に有楽町で新聞号外配布のために集まった群衆を撮影したもの。刻々と変わる場面を撮影するためにM240で撮影していたところ途中で内部バッファメモリが満杯になってしまった。撮影終了後に確認してみたところバッファが満杯になった際は1分間に20枚の撮影を行っていた(RAW+JPG同時保存でファイル数は40枚)。なお、バッファメモリからSDカードに保存される際には背面のLEDが点滅することで分かる。M10-Dで撮影していたならばバッファが満杯になることは無かっただろう。
2.連続撮影の速度について。M240は3コマ/秒の連続撮影ができた。M10-Dは最大5コマ/秒の撮影ができる。1秒当たりの撮影枚数がM240と比べて高速連写できるのでスナップ撮影時においても大量に撮影した中から構図やタイミング、ピントの良い写真を選ぶことにより結果的に良い写真を撮影できることになる。
3.シングルモードと連写モードへの切り替えについて。M240はシャッターボタン側についている電源スイッチでシングル撮影モード、連写撮影モード、セルフタイマー撮影モードを切り替えできた。普段はシングルモードで撮影することがほとんどだがある場面で連写撮影したくなった時に連写モードへの切り替えはM240はスイッチのみで行えるのに便利だった。しかし、シングルモードにするつもりがそのままスイッチを動かし過ぎて連写モードにしてしまうこともあった。M10-Dは連写モードへ切り替えするにはFOTOSアプリを使って撮影モードを切り替える必要gある。FOTOSアプリへの接続は30秒余りかかってしまうので場面場面で連写モードとシングルモードを切り替えするのは少々面倒である。M10-Dを3ヶ月ほど使っていて連写モードへ切り替えて使ったのは1回のみである。タイミングが重要なスポーツ写真撮影を行うわけでなくスナップ撮影ならシングル撮影モードを使って次々シャッターボタンを押して連写することで十分であると思う。
4.シングル撮影時の速射性能について。M240、M10-Dともにレンジファインダーを使って撮影する場合は速射性能には変わりないと感じる。しかしM240は背面液晶が付いているため撮影直後に撮った写真を画面で確認したくなることもあるのでM10-Dの方が撮影に集中できる分速射性能に優れていると思う。またM240はライブビュー撮影モードに簡単に切り替えできるがライブビュー撮影の場合はシャッターボタンを押した後にカメラ内部でシャッター幕を閉じた後にシャッターを開いて撮影するのでシャッターボタンを押して撮影するまでワンテンポ遅れる。
5.速射性能のまとめ。内部バッファメモリが大きくなったこと、また背面液晶が無いこと、1秒当たりの連写速度性能があがったことによりM240と比べてM10-Dは大幅に速射に強くなった。
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