ライカ Q2(筆者撮影)
ライカの高級コンパクトデジカメ ライカQ2が2019年3月23日に発売される。本ページでは、ライカQ2が本当に良いカメラかどうかを実機写真、作例などを含めながら、使い勝手などを検証するレビュー記事である。またライカQとの比較、ライカレンジファインダーカメラとの比較も行う。
2019年3月7日にライカQ2 コンパクトデジカメが発表された。ライカQ2は2015年6月に発売されたライカQから約4年ぶりのメジャーアップデートだ。有効画素数4730万画素のフルサイズセンサー、ボディにセットされているレンズはライカQと同じ開放絞りf1.7のライカ 28mm ズミルックスレンズであり、クロップ機能を使うと28mmレンズの他に35mm、50mm、75mm(new)の画角で撮影を行うことができる。さらに、4K動画撮影に対応、防水(new)でありライカQから比べると大きく性能アップとなった。
(2019/3/19追記)ライカQ2の発売日は2019年3月23日に決定した。
ライカ Q2 背面(筆者撮影)
ライカQ2と前機種であるライカQ(およびライカQ-P)とのスペック比較は次の通り。なお、2018年にライカQの外観が変更されたQ-Pが発売されているがQ-PとQはスペックは同一である。
ライカQ | ライカQ2 | |
---|---|---|
発売日 | 2015年6月 | 2019年3月 |
価格 | 56万円(税別) | 65万円(税別) |
レンズ | 28mm f1.7(固定式) | 28mm f1.7(固定式) ライカQと同じ構成 |
撮影画角 | 28mm / 35mm / 50mm (jpgデータはクロップ撮影、RAWデータは28mm画角で記録される) | 28mm / 35mm / 50mm / 75mm (jpgデータはクロップ撮影、RAWデータは28mm画角で記録される) |
撮像素子 | 有効約2400万画素のフルサイズCMOSセンサー、光学手ぶれ補正機能搭載 | 有効約4730万画素のフルサイズCMOSセンサー、光学手ぶれ補正機能搭載 |
EVF | 368万画素の液晶、電子ビューファインダー搭載 | 368万画素の有機EL液晶、電子ビューファインダー搭載 |
ISO感度 | オート、ISO 100~50000 | オート、ISO 50~50000 |
シャッター | 30~1/2000秒(メカニカルシャッター)、1/2500~1/16000秒(電子シャッター) 1/3 段ステップ フラッシュ同調速度:1/500 秒 | 30~1/2000秒(メカニカルシャッター)、1/2500~1/40000秒(電子シャッター) 1/3 段ステップ フラッシュ同調速度:1/500 秒 |
防塵防滴 | × | ○ |
ファインダー倍率 | 0.7倍 | 0.76倍 |
動画 | 記録画像形式:MP4 フルHD (1920×1080p、60コマ/秒または30コマ/秒)、 HD (1280×720p、30コマ/秒) |
記録画像形式:MP4 4K:30fps、24 fps C4K:24fps フルHD:120fps、60fps、30fps、24fps |
大きさ | 外形・寸法:幅130×高さ80×奥行き93mm(高さは、ライカMと同じ) | 外形・寸法:幅130×高さ80×奥行き91.9mm(高さは、ライカMと同じ) |
重さ | 約590g(バッテリー含まず)、約640g(バッテリー含む) | 約637g(バッテリー含まず)、約717g(バッテリー含む) |
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⇒ ライカQ2には購入する価値があると考える10の理由
⇒ ライカ Q2 詳細スペック
⇒ (旧機種)ライカ Q レビュー
性能的に大きな違いは画素数が大幅アップしたことである。ライカQ、および同じライカのレンジファインダーカメラMシリーズは有効画素数2400万画素のフルサイズセンサーが採用されていたがQ2は大幅に性能アップした4300万画素の新世代センサーが使われている。フルサイズセンサー2400万画素センサーでも十分に高精細であったが、今回4300万画素になることによりQ2でクロップ撮影を行った際にも十分な画素を確保できるメリットは大きい。しかし、そのメリットに対して画素数が大きくなるとそれだけ画像データサイズも大きくなり撮影データの保管のためのハードディスク容量が必要になるというデメリットもある。
ISO感度がQのベース感度がISO 100に対して、Q2はベース感度 ISO 50になった。f1.7という明るいレンズを生かして昼間でも開放絞りで撮影できるというメリットは非常に大きい。ライカM240はベース感度ISO 200、ライカQ、ライカ M10-Dはベース感度ISO 100であったが高感度性能が失われることなくより低感度撮影できるようになったことは嬉しい。
いよいよライカにも塵防滴性能がやってきた。ライカQ、ライカM240、ライカ M10-Dなど、過去のライカカメラはボディ、またはレンズが防水でないので雨の日に使いづらかった。高価なカメラを水濡れで破損してしまうことを恐れて雨の日にカメラを持って出かけることはほぼなかったが、塵防滴のQ2は雨の日でも安心して使うことができる。より撮影の幅が広がることが嬉しい。
4K動画撮影可能になり、またフルHD動画撮影においてもQの60fps⇒Q2の120fps対応へと大幅性能アップした。120fps撮影を行うことにより再生時に30fps再生すると1/4の速度でのスロー再生が可能になり柔らかい印象の動画を撮影できる。また、4K撮影機能を使うことにより撮影後にクロップしてフルHD動画へ編集できるというメリットもある。
ライカQ2でより容量の大きいバッテリーに変更された。
スマホと連動してつかうFOTOSアプリ使用時により電池消費量が少ないBluetooth接続が使えるようになった。
背面液晶の左側のボタンが5個⇒3個に削減された。無くなったボタンはDELETEボタンとISOボタンである。ボタンが少なくなり、見た目がすっきりとした。またアイピース右の視度調整ボタンがQ2では埋め込み式になり(押し込むことにより手前に飛び出て可能になる)、撮影時に不用意に動いてしまう恐れが減った。
ライカQとライカQ2を比較するとレンズの太さ鏡筒が少しだけ太くなっている。ライカに確認してみたところ、防水防滴対応にするためにOリング(オーリング)を組み込むために少しだけ鏡筒が太くなったとのこと。防水防滴性能を組み込むためにかなり苦労したとライカのステファン・ダニエル氏が言っていた。
2015年に始めてライカQに触れた時、十分AF速度は速いと思っていた。今回Q2に触れてAF速度を確認したところ同様に早かった。ライカQと比べてQ2のAF速度が速くなっているかどうかライカの方に聞いてみたところ、AF速度は同じとのことだった。
ライカQ2のAF速度はライカQのAF速度と同じ、一昔前の国産一眼レフのAF速度と比べると早いが最新の高速AFカメラと比べるとほんの少しだけ遅れがあるがライカQ2で街中スナップ撮影を行うには十分以上に高速なAF速度である。
ライカQ2の値段はメーカー希望小売価格65万円(税別)であり、ライカQの価格と比べると9万円(税別)アップとなっている。税込み価格は量販店での販売価格約67万円(税込)程度である。ライカQと比較すると実質価格は約5万円アップとなっているが画素数アップ、防塵防滴性能、4K動画撮影などの性能アップを考えると妥当な価格である。
ライカQ2は国産のコンパクトデジカメと比較すると約4~10倍もの値段である。国産のコンパクトデジカメは廉価な品は数万円以下で購入可能、高級コンパクトカメラでも高くて15万円程度である。ライカQ2は超高級コンパクトデジカメである。なぜこんなにも値段が高いのだろうか?
ライカは、さらに高額なボディだけで100万円もするレンジファインダーカメラを作っているメーカーだ。その100万円もする高級レンジファインダーカメラと比べると実はライカQ2の65万円(税別)という値段は安いくらいである。その理由を順に見ていこう。
2019年3月8日現在、国内でのライカQ2の発売日は3月と公式発表されている。3月9日にライカ社銀座店を訪問して納期を確認したところ、今予約すれば3月末までには入手できそうだとのことだった。
(2019年3月20日追記)3月30日にライカ銀座店を訪問して発売日を確認したところ3月23日(土)発売するとの話だった。(3月20日)現在、飛行機に乗って日本に向かっているとのこと。
ライカが新型カメラを発売する際、購入予約が数日遅れただけで入手までに1~3ヶ月かかってしまうことはよくある。もし、3月末の桜の季節に間に合わせたい、ゴールデンウィークに間に合わせたいとのことだったらすぐにライカQ2を予約しよう。一番早く入手できるのはライカ直営店と思われるが定価販売のため、販売価格は約70万円となる。ネット上の量販店で購入すると67万円程度、ポイント付与も考慮すると65万円程度で購入できるのでもし少しでも安くライカQ2を欲しい方はネット上のショップで購入予約を行おう。
ネット上のショップでのライカQ2最安値販売おすすめショップは次の通り。
ライカQ2を見て、ライカレンジファインダーM10-PやM10-Dを欲しいと思っていた方はQ2を買うべきか、レンジファインダーを買うべきか悩んでいるかも知れない。筆者はライカ M240、ライカ M10-Dを使用しているが(資金に余裕があれば)ライカ Q2も欲しいと思っている。今は2018年12月に購入したライカ M10-Dで十分以上に満足しているが、もしライカM10-Dの代わりにQ2を購入していたらと想像しながらライカQ2とライカ レンジファインダーカメラ(ここではM10-D)と比較する。
ライカQ2に一番期待することがオートフォーカス機能である。ライカ M10-Dなどのレンジファインダーカメラでも十分素早くフォーカスできるが突然訪れたシャッターチャンスにフォーカスが間に合わずピンボケ撮影をしてしまうことがある。Q2なら、超高速でAFできるのでスナップ撮影時にも正しく操作すれば被写体にピタリとフォーカスを合わせることができるのは良い写真を撮る確率を上げられるので大きな魅力だ。
ライカQ2は、ライカの高性能レンズSummilux 28mm f/1.7が付いたライカボディを70万円弱で購入できる。ライカM10-Dで撮影可能なシステム一式を購入する場合、ボディだけで100万円、レンズを含めると少なくとも150万円前後はかかってしまう。つまりライカQ2はM10-Dと比べると半額以下の費用でライカカメラを手に入れることができる。なんと安いのだろうと思う。しかも、Q2なら、クロップ機能を使うことにより35mm、50mm、75mmの画角で撮影を行うこともできる。もしM10-Dで同様に28mm、35mm、50mm、75mmの各Summiluxレンズをそろえたとすると、その費用の差は次の通りである。
システム | ライカQ | ライカM10-D |
---|---|---|
ボディ | 70万円 | 100万円 |
28mmレンズ | 付属 | 80万円 |
35mmレンズ | クロップ | 65万円 |
50mmレンズ | クロップ | 50万円 |
75mmレンズ | クロップ | 50万円 |
合計 | 70万円 | 345万円 |
つまり、全てのレンズを購入したことを考えるとその費用はM10-Dと比べて約1/5である。超ディスカウント価格である。ライカレンジファインダーMシステムを購入すると、ついつい新しい交換レンズが欲しくなってしまう。例えば、筆者はM10-Dに加えて、他社メーカーレンズも含めると21mm、25mm×2本、28mm、50mm×5本、100mm×2本と合計10本以上のレンズを買い増しし続けている。Mシステムと比べてQ2なら、新たなレンズを購入することもなく、最初にQ2を購入した70万円だけで数年間はライカでの撮影を楽しむことができる。ライカは国産のデジカメと異なりモデルチェンジまでの期間が長く(今回もQからQ2へのモデルチェンジに約4年かかった)、国産デジカメのように購入した翌年には型落ちの古いカメラになってしまう罠も無い。今Q2が発表されたばかりのこのタイミングはライカカメラを欲しいと思っていた方にとっては最高の購入タイミングである。
ライカQ2はレンズが付いたボディ一式の重量は717g(バッテリー含む)である。ライカM10-Dはボディーの重さ660g+標準レンズSummilux 50mm f/1.4レンズの重さ335gを合計すると約1kgになる。1kgでも国産のプロ用一眼レフ+標準ズームレンズと比べると半分以下の軽さであるが、Q2はさらに軽く、標準撮影重量はM10-Dの70%しかない。M10-Dの場合さらに交換レンズも持ち運ぶとなると撮影重量は重くなってしまう。その点Q2なら、レンズ付きボディーだけで撮影できるのでこれ以上重くなることは無い。良い瞬間の写真を撮影できるかどうかに一番必要なことはいつもカメラを持ち歩くことである。ライカQ2ならライカレンジファインダーと比べて小型軽量のため、いつどんな瞬間にも写真撮影を行うことができMシステム以上にきっと良い写真が撮れるはずだ。
ライカQ2は、マクロモードにすれば最短撮影距離17cmまで被写体に近づいて撮影できる。ライカレンジファインダーの一般的な撮影距離は0.7mまたは1mである。最短撮影距離が17cmまで短くなったことにより、例えばレストランでテーブルに座って目の前の食事を撮影することもできれば、道端に咲く花や草木も大きく印象的に撮影することができる。Q2を使うことによりレンジファインダーでは撮影できなかった様々な被写体を撮影できるようになり写真のバリエーションが大きく広がることだろう。
ライカQ2は、マクロモードへの切り替えギミックが面白い。レンズ根元のマクロモード切り替えスイッチを回すとレンズのフォーカス距離指標が少し前へ移動しマクロモード用の距離指標が出てくる。国内のコンパクトカメラではコストの関係上絶対に実装できないと思われるユニークで撮影が楽しくなるギミックである。
ライカ レンジファインダーカメラはライカ M240で動画撮影を行うことができたがそれ以降に発売されたレンジファインダーカメラでは動画撮影機能は省かれている。ライカQ2なら動画撮影、4K動画撮影もできるの家族との大切な思い出や旅先の記憶をより鮮明な記憶として記録することができる。
とはいえ、筆者はM240で動画撮影を行ったことはM240を購入直後に試し撮りしただけであり普段使いで動画撮影を行うことは無い。動画撮影なら、さっとポケットから取り出して行うスマホで撮影するのが便利だからである。つまり、ライカQ2の動画撮影機能もそれほど使われることは無いだろうと筆者は思う。
雨の日にもスナップ撮影を行いたいと思うことがある。しかしM10-D、およびMシステムのレンズは原則防塵防滴対応ではないためレンズの水濡れ懸念のためなかなかカメラを外に持ち出すことができない。ライカQ2なら安心して雨の日にもスナップ撮影を楽しむことができる。とはいえ、プールで水に潜って水中撮影を行えるほどの防水性能はないので雨の日に多少水に濡れても大丈夫という保険程度に考えていた方が良いだろう。大切なカメラだ、水に濡れてしまったら使用後にしっかりと外観の水分やチリを拭き取り、カビや汚れ防止のために防湿庫の中でしっかりと保管したい。
ライカQ2は、Mシステムと比べて小型軽量であり最新機能も付いているがSummilux f/1.7という明るいライカレンズが付いておりライカらしい写真を撮ることができる。
ライカのカメラやレンズを集めることだけが趣味では無く、ライカで写真撮影を行うことが好きならライカQ2は欲しい1台である。ライカQ2のボディは金属(マグネシウム合金)でできており、触った感覚は国産の巨大で重いデジタルカメラ、または小型軽量でプラスチック製のカメラなどと比べて、正にライカの感触である。
撮って良し、触って良し、ライカの魅力が詰まった、ライカをもっと好きになれるカメラ。それがライカQ2だ。
ネット上で、徐々にライカQ2作例画像が増えてきた。そのうちのいくつかのサイトを紹介する。
関連リンク: ライカ Q2 公式サイト
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